2015年7月26日日曜日

♪ 「遠くからの声」 ♪

 

 
組曲「遠くからの声」。
友人である作曲家・村尾なつめさんの新作初演。
昨夜、日暮里サニーホールにて
演奏させていただきました。
 
 
【TIAA音の博覧会】
~未来に残すべき俊英作曲家による作品群~
 
新進作曲家のみなさまによる作品たち。
歌だけでなくヴィオラやフルートなども。
 
 
今回私が取り組んだ作品。
美しい現代音楽の旋律、
そして元ハンセン病患者である詩人・塔和子さんの詩。
 
病を患った方々のたどった辛い歴史について、
作曲したなつめさんがあらためて教えてくれたこと。
 
“ハンセン病を患って強制隔離された後、
療養所内で重労働をこなして生きてきた詩人の塔和子さん。
入所していた男性歌人と結婚、
(逃走防止の目的等で結婚は許可されていたそう)
しかし当時夫婦であっても子どもを持つことは禁じられていたとのこと。
塔さんが暮らした瀬戸内海にある療養所は
既婚男性側が断種手術をほぼ強制的に受けていた。
それでも妊娠した場合が強制堕胎という運命で、
今でも療養所内には
海を見晴らす高台に
生まれてくるはずだった命の記念碑が建っている”・・・と。
 
故郷も家族も将来の子供たちさえも
奪われて生きてきた、この事実。
いただいた歌詞からも
塔さんの心の声が聞こえてくるような気がして・・・
 
それでも、塔さんの詩は、
とてもみずみずしく
生命感に満ちていて、
時には女性らしいかわいらしさも溢れていて、
歌っていてもいつも魅了されていたのでした。
 
 
本番、歌にこめた様々な思い。
ほんの少しでも会場の皆様に
お届けできていたらいいなと思います。
 
そして、この曲が未来に繋がって、
いろんな人に演奏してもらえるような
作品となっていってくれたら・・・とも。
願いをこめて。
 
 
 
「私は産褥で切り取られた 短命の切花
自ら炸裂する
あの熱い弾丸におされる蕾を
花へと 日々 生命を
死からともされ
オリジンにかえるまでの
営みの炎を 小さな花瓶に
さされたままだ」
 
塔和子【切花】より
 
 

 
 

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